会長挨拶

MESSAGE

一般社団法人全国道路標識・標示業協会会長
新美 政衛

 一般社団法人 全国道路・標示業協会は、昭和38年に任意団体「全国道路標識業協会」として設立され、昭和51年に「社団法人」化、そして平成24年に「一般社団法人」となり、現在に至ります。当協会は、道路標識・標示業に携わる全国約600社の施工業者等を会員として成り立っており、会員の力を結集して安全で快適な道路交通の確保のため各種事業を進めてまいりました。交通事故死者数は、昭和38年には12,000人を超えておりましたが、令和4年では、2,610人にまで減少し、車の進化、医療の発展、歩道の整備、交通指導取締りなど様々な要因はあるものの、当協会の果たしてきた「交通安全」に対する役目は、交通事故減少に大きく貢献してきたものと考えます。
 今日の業界を取り巻く環境は、非常に厳しいものがあります。相次ぐ原料費の高騰、運送費の大幅アップ、ドライバー不足による遅配、人口減少や景気回復により入職者がいないこと、地方自治体では社会福祉関連等の予算増に伴い公共事業費の減少、国主導による賃上げ促進、働き方改革による休暇取得増、脱炭素材料を使用した工事、さらには2024年問題である労働時間規制と枚挙にいとまがありません。要は業界として、「休暇がしっかり取得でき、高い給料を社員に支払う」ことのできる体制に変革することが求められているわけです。これを実現するため、関係省庁に対して、必要な予算の確保、発注要件の見直しを訴えていくなどの活動をしっかりと進めていきたいと考えております。
 一方、令和5年4月から、「『レベル4』に相当する、運転者がいない状態での自動運転(特定自動運行)」を可能とする道路交通法が施行されました。今、自動運転技術における区画線(路面標示)の重要性が改めて注目されており、そのための研究に当協会のメンバーが参画しているところです。自動運転は、交通事故の削減や公共交通の維持・発展など社会の課題解決のため、早期の実現化が期待されております。新たな時代を切り開くため、当協会としても自分たちにできることを懸命に進めていく所存です。
 引き続き「道路標識点検診断士研修」や「登録標識・路面標示基幹技能者講習」等を行い優れた技術者・技能者の育成事業を地道に進めるとともに、新技術・新工法に関わる調査研究等にも力を注いでまいりたいと考えております。皆様のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。